立秋の風
そういえばもう「立秋」なのですね
爽やかな語感ながら
まだ夏の盛りの暑さです
私の思いの様ですが
きみへの切なさが少し秋の風
を運んできたような気もします
実家の螺旋階段を登ると
いつも蝉が落ちていて
命を全うした潔さに
ご苦労さまなどという言葉は
軽々しいくらいにはねのけられそうです
触ろうとするとまだ鳴いて
ギャッと声をあげたものです
虫のようにただ生きる事に
真っ直ぐな何かに憧れますがなかなかです
虫からしたら人間はもどかしい生き物なのかもしれませんね
そんな他愛のない事を考える時も
きみのことがふっと頭に浮かび
遠くの雲を見てしまうのです
そうするとトンボが飛んできたのです
とても美しく青い色したトンボ
まだ暑い蜃気楼の中を涼しげに羽を瞬かせ近寄って来てくれて
なぜかきみが来てくれた気持ちに
なりました
そっとそっと指をくるくると回し
指先にとまってくれないかと
誘い指をしてみても
近づいてきては
また遠のいていく仕草に
なんだか笑ってしまいました
「もう立秋」
残暑見舞いとして
手を舞わして風を送ります
感謝の気持ちしかないこの
思いを届けます
まだまだ暑くても 秋 秋と
念じれば 遠くの雲や木漏れ日
風のならす音さえも
一匙ほどの秋を纏っているかのようです
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