風の足音

散ってゆくような鱗雲を染める真紅の涙が沈む黄昏

空一面に桃の花が咲いていた

桃色の流れゆく雲にのり 運ばれてほしい

秋風を追いかけた背中越しのぬくもりを

月灯りが照らした 影法師へと

歩く度に踏みしめた足からは離れずに伸びてゆく

一緒に歩いているみたいだよ

そういって風が振り向くから

わたしは林檎をかじって 

甘くて美味しいと伝えた

何か小さな喪失があったのかもしれないけれど

笑顔で振りかえる風に吹かれてみようと歩いた























25/10/19 11:58更新 / 檸檬
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