雨の味

あなたは記憶をふっくらご飯に炊いてくれた

お茶碗一杯の白い湯気

わたしは目を閉じて

瞼の中に

鼻腔の中に

吸い込んだ

おそろいに買った八角箸を使って

出口の見えないトンネルのような口の奥へ

真っ白なふっくらごはんを運んだ

ああ、雨の味がしたんだ

ああ 雨の味

冷たい雨でも、あたたかな雨でもあるような

あなたを通って降る雨、、みたいな味だ

雨音が

遠くのあなたに繋げてゆきたい

ひと粒ひと粒があるんだよと聞こえる

あのひとの霧深き故郷の山

ひと粒ひと粒芯が立って

あなたを通って降る雨の味を

ひと粒ひと粒味わって

そうしてわたしを伝って落ちる

感謝の雨音、ひと粒ひと粒

24/11/02 07:27更新 / 檸檬
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