雨の味
あなたは記憶をふっくらご飯に炊いてくれた
お茶碗一杯の白い湯気
わたしは目を閉じて
瞼の中に
鼻腔の中に
吸い込んだ
おそろいに買った八角箸を使って
出口の見えないトンネルのような口の奥へ
真っ白なふっくらごはんを運んだ
ああ、雨の味がしたんだ
ああ 雨の味
冷たい雨でも、あたたかな雨でもあるような
あなたを通って降る雨、、みたいな味だ
雨音が
遠くのあなたに繋げてゆきたい
ひと粒ひと粒があるんだよと聞こえる
あのひとの霧深き故郷の山
ひと粒ひと粒芯が立って
あなたを通って降る雨の味を
ひと粒ひと粒味わって
そうしてわたしを伝って落ちる
感謝の雨音、ひと粒ひと粒
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