風の記憶
【短歌十首】
朧月のヴェールは深き霧
冷たい雨に隠された残熱
月が欠けゆく時に種撒きをするひとの瞳は星満ちていて
緑生の柳の下に立ち
こんこんと流れゆく想いきみへ
古い街並み路地裏を歩けば
優しい風が心に残る
時愛でた夢ように
手の温もりと柔らかな風と歩いた
その風よいつまでも心に吹いてほしいと願う透明なまま
欅道
日に焼け落ちてしまった葉を
ゆっくり踏みしめ登る坂道
跪き、庭仕事をした後の風に
吹かれて燃える落ち葉かな
朝はパン派の君に「明日のパン」を
買いにゆく夜のコンビニ
林檎に葡萄、蜜柑
実る果実よ秋煩いを癒しておくれ
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