風の記憶

【短歌十首】


朧月のヴェールは深き霧
冷たい雨に隠された残熱


月が欠けゆく時に種撒きをするひとの瞳は星満ちていて


緑生の柳の下に立ち
こんこんと流れゆく想いきみへ


古い街並み路地裏を歩けば
優しい風が心に残る


時愛でた夢ように
手の温もりと柔らかな風と歩いた


その風よいつまでも心に吹いてほしいと願う透明なまま


欅道
日に焼け落ちてしまった葉を
ゆっくり踏みしめ登る坂道


跪き、庭仕事をした後の風に
吹かれて燃える落ち葉かな


朝はパン派の君に「明日のパン」を
買いにゆく夜のコンビニ


林檎に葡萄、蜜柑
実る果実よ秋煩いを癒しておくれ














24/10/26 21:21更新 / 檸檬
作者メッセージを読む
いいね!感想

TOP


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c