こがねいろの秋白く
締め切ったカーテンの隙間から零れる光から
誰かの姿が浮かんでくる
昨夜、突然現れた黒くG線を走る速い影に
心捉えられ黒い一点の渦が広がるのイメージを
呼吸を荒立て、本能で消した
今朝の光、
あらゆる運命の脈絡、生きて、生きているのだから努めながらも小さく可笑しみを称えて弱音を吐く、
締め切ったカーテンの隙間から零れる光は
幼い神経衰弱にも寄り添ってくれる
ビー玉を転がすように
八月が九月になり毎朝作るお弁当
白き楕円の殻を割り、
卵焼きの甘やかなしあわせの形にして、
なるべく崩れないように
繰り返し重ね焼いてゆく
フライパンの上でくるくると
こがねいろのひかりに巻かれて
浮かびあがった輪郭は
締め切ったカーテンから零れる光に照らされた
誰かの横顔に似ていた
わたしははっきりと顔がみたくて
カーテンを開けるように
卵焼きを白いお皿に乗せる
柔らかなこがねいろの輪郭が
秋白い翼を広げたようにみえたのが嬉しかった
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