記憶の糧
【短歌十首】
子供らの弾けるような「こんにちはー」夏の光のような眩しさ
満月の器にご馳走を
乗せてさらわれたお腹一杯のしあわせ
廃棄倉庫空ビンを割る音溶けるほど熱い白昼に響く
おもちゃ屋でだだをこねても買って貰えない涙を知った兄の夏
友よ、これでいいと言って下さりありがとう、楽しもうよそれぞれに
ツンとしたかき氷のてっぺんを
溶けるまえに崩すか食べるかどっち
涙の谷を渡る為
星空にきみを想うしずかな夜だよ
薬指 目尻の涙をマスカラにして
パチクリにっこり笑ってネ
手に取った石はわたしがみつけたのか
石がわたしをみつけたのかと
紅い石の断層が
空一面の夕陽と雲の重なりを写して
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