記憶の糧

【短歌十首】


子供らの弾けるような「こんにちはー」夏の光のような眩しさ


満月の器にご馳走を
乗せてさらわれたお腹一杯のしあわせ


廃棄倉庫空ビンを割る音溶けるほど熱い白昼に響く


おもちゃ屋でだだをこねても買って貰えない涙を知った兄の夏


友よ、これでいいと言って下さりありがとう、楽しもうよそれぞれに


ツンとしたかき氷のてっぺんを
溶けるまえに崩すか食べるかどっち


涙の谷を渡る為
星空にきみを想うしずかな夜だよ


薬指 目尻の涙をマスカラにして
パチクリにっこり笑ってネ


手に取った石はわたしがみつけたのか
石がわたしをみつけたのかと


紅い石の断層が
空一面の夕陽と雲の重なりを写して



24/07/27 22:37更新 / 檸檬
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