雲間の手帖
【短歌十首】
午後7時半の碧い空を泳いで
雲に掬われ浮ぶ金魚
きみという80億分の1の風に
なっていけるならそれだけ
白昼白熱に疲れた午後は
白々しさに付いては行けずに
乳白色にかすかな紅をさす夕暮れ
祖母と過ごした安らぎ
満タンにいれたガソリンで
夏の風と想い出の時間を駆けて行く
汗を掬う風に
瞳の奥から咲いたような青い蓮の華
黄昏時
路面電車に乗って生まれた街に紅鉄の心音
紅色から藍色に深くなる
ブルーベリーの実を照らす夕焼け
焼き鳥屋
ハイボールのポスターがにっこり
わらってお疲れさま
今夜満月 ふわり咲く
今年も庭先のミナヅキが綺麗だ
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