夏の夢の中で
ノートのページが風をうけて
やわかな羽を持って蝶々のように舞っていた
誰かに書いた手紙が浜辺の風をうけ
お船の帆のように旗めいていた
夢の中に大切にしまった
引き出しの四角の枠越しに
夏の光が溢れてくる
その光を受けて咲いた花
蝶が花にとまり蜜を吸う
花びらはそっとしなって優しく受けとめている
白い紙がわたしの心の花になるのなら
ペンを取りその蜜を吸うだろう
白い花の心にインクの傷がついてしまっても
白い花は藍色に染まり優しく受けとめてくれる
いずれ色褪せて散っても
それはいつか
羽をもって飛ぶ蝶々に
蜜蜂、蜻蛉、蝉に
大樹の下の土から這う蟻に、
ひなびた紫陽花に
高く伸びる向日葵に
そよぐ青い稲穂に
空に広がる枝葉に
木陰に集う鳥たちに
光の中を舞う風に
そしてどうかあなたの頬を撫でる夜風に
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