夏物語
【短歌十首】
ヒンヤリとした竹ゴザに寝転んでみる夢
竹林からの風
眩しすぎる光線を直視して
しばらく消えない黒い残像
ザーザーと降る雨音に身をまかせ
力を抜いて行く力を抜いて
足の傷を数えて
辿ってきた道のりを聞きながら撫でた川縁
精巧に出来た飛行機の模型をつくる
その手で 儚い時をかたち作ってきたひと
夏の雨粒をイヤリングにして
鈴の音を聞いていられる夜に
湯上がりふっくらホタルイカ
辛子味噌の黄色の衣を纏わせて
水面に心を写し合う
穏やかな川縁に来ればそれだけで
海割れていくような月光の煌めきの先に
浮ぶ方舟かな
夏物語を描いて行く
真っ白な光の上に雲の上に
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