蝉時雨を待って
【短歌十首】
吟風に吹かれた稲は青い瓶に
なつくじらという名の新酒
文化祭
風に乗って流れた調べに
はじめてのあいを空に魅る
目を細めて振り返れば
高い夏木立にトンボが舞う、眩しい
ジンジンと熱さが昇るアスファルト
バイクのエンジン、疾風の音
松の葉の剪定を終えた
緑のじゅうたん鮮やかに薫る初夏
夏の太陽に恥ずかしいこともさらっと
言ってしまいましょうよ、と風
寂しさにもエッジを効かせた蝉時雨
猛暑の予感か夕立か
自分の歌声であることを純とした
道を教えてくれるひと
道徳より惜しみなく吾の切なさ
弾かせてゆく夏、夏、夏
落葉樹夏木立
ただ今は木陰のような歌に目を閉じて
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