あしたの実
新しい道々が続く夜空は少し雨模様
でも、雨が煌めいてみえるよ
包むように優しく降ってほしい
夕刻を過ぎて庭木に水をあげることを忘れていたからほっとする雨
バラバラパラパラと乾いた土や葉に落ちる雨脚が土足音のように聴こえてしまう夜には
タップダンスみたいだと言ってピカピカに磨いた靴を履いて空へと手を伸ばしたい
この雨は明日の朝にはブルーベリーの実を幾つ完熟させてくれるだろう
ひとつひとつの藍色の実を手のひらに乗せて
雨と宇宙、ふたつの間に実ったもの
小さくて、深い夜の色、でもどうか
少し光っていてね
痛みひとつ、甘く成るように
俯いて小さく微笑むひとみたいに
夏の間に毎朝少しずつ収穫してゆく
夜に育つ願い事 静かな夜に繋いでゆく
夜空、ブルーベリーの夜空
藍色の瞳が少しだけ光る
雲に隠れた満月と鈴の音に包まれて
朝には白い雲の上に木洩れ日をかけて
雨と宇宙の色、
夏の朝のカーテンを開けて
小さく頷く微笑みをみせて
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