ラの唄
足音無く雨音響く野道ゆく
雨が這う泥土の田から底力
波打ち際泡となれば夏雲へ
ユキヤナギ雨粒抱いて散る姿
どんぐりの帽子に溜まった水はどこ
あめあがり雨粒写す丸眼鏡
草露映る空と清きあの人
クモの巣が雨粒編んで宝石か
大樹こぼれる雫は点眼福
雨木肌濃く美しき年輪の
朝顔の閉じた花びらインク染み
濡れ落ち葉腐りてかえる肥えた土
手洗いニット産毛の香に深呼吸
白い頬染まる血潮はさくらいろ
虫の声殺生なことはおゆるしを
兄の恋みたこともないさくら咲く
雨上がり吹奏楽部の風は春
スプリングコートひらりと春風と
竹葉から涼風好きなヤマザクラ
音もなく咲いて散りゆくいのちかな
シを見つめラの音鳴らす息吹だネ
花よ咲け涙を拭いて悠々と
うろこ雲山の麓に咲くサクラ
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