春の足音

(俳句十七句)


夕凪の草萌は春雨に薫る



葉にゆれる木漏れ陽は深き目覚めの



皺枯の葉の先にも青き新芽



バケツに溜めた陽水と言の葉



枯野にみどりの風と鳥のさえずり



トサミズキ薄黄緑の鎖樋(くさりとい)



蝶の舞誘われてみる春の風



眠りつく雨音は春の足音



アイス溶けお日様と食べた縁側



遠き春川の流れの冷たさよ



春待つ夜花びら落ちて凛と立ち



サヨナラを忘れ名草に忍ばせた



遊びの終え方おそわりし夕陽に


 
ユキヤナギ桜より早く溶けゆく



春の風家路に向う安らぎと



物語それぞれはじまる卒業



くらやみの春まだ淡き明け時雨


24/03/29 08:31更新 / 檸檬
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