春の足音
(俳句十七句)
夕凪の草萌は春雨に薫る
葉にゆれる木漏れ陽は深き目覚めの
皺枯の葉の先にも青き新芽
バケツに溜めた陽水と言の葉
枯野にみどりの風と鳥のさえずり
トサミズキ薄黄緑の鎖樋(くさりとい)
蝶の舞誘われてみる春の風
眠りつく雨音は春の足音
アイス溶けお日様と食べた縁側
遠き春川の流れの冷たさよ
春待つ夜花びら落ちて凛と立ち
サヨナラを忘れ名草に忍ばせた
遊びの終え方おそわりし夕陽に
ユキヤナギ桜より早く溶けゆく
春の風家路に向う安らぎと
物語それぞれはじまる卒業
くらやみの春まだ淡き明け時雨
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