命、紅(くれない)に染まる
夕陽のあかを持ち帰る
あの子と遊んだ帰り道
夕陽のあかを胸にしまって
小さな頬をすりよせた
思い出ごと買い物袋に詰め込んで
夕陽のあかを心に灯し
台所の火をつけよう
夕陽のあかを心に灯し
食材に感謝をしよう
夕陽のあかを心に灯し
みんなの笑顔をやきつけよう
夕陽のあかを心に灯し
今日1日の最後に
あなたに貰った紅(べに)をさす
今日のしあわせこのことを
あなたにそっと伝えよう
眠りにつくまでのこの時間
ただ傍にいて
月に紅(あか)を帰したら
月にも風が吹いていた
紅く染まった柳は水面に
雨の雫を螺旋に落として
紅い波紋を広げていく
月に紅を帰したら
揺らぎに包んで深く眠らせて
このまま 心折れぬまま まだ揺れる
柳は優しく、命の話をしている
小さな時空間を守るように
溺れそうな闇に燈火がずっとゆれている
まあるい まあるい ほほ笑みだ
紅(くれない)に目覚める明日への希み
だから 心折れぬまま まだ揺れる
柳は優しく、命の話をしてくれた
ずっとずっと聞いていた
わたしは命から耳を傾けた
命の糸は紅い糸
紅に目覚める明日への希み
だから 心切れぬまま まだ揺れる
命に沁みた紅(くれない)があの海岸線から昇る
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