冬の窓 十景
家訓とす
くだり階段最後の一段は
足元を確かめて
氷雨ふる
君に弱音を吐く夜は
ただ落ち溶けて眠りゆきたい
君夜空へ膨らむ心は
1ミリも寒さ刺さらぬ満月に
あなたの柔らかなささやきが
真紅に落ちた寒椿の道かな
すみっコぐらしをきみとする
小さくて静かに笑う花を植えよう
青い小池に浮かんだ白月に
釣られたように歩く散歩道
白月は
梢に咲いた紅梅のかんざし
挿してお澄まししてる
月の扉
闇に光る瞳と今日の記憶が
溶けあって深く眠る
夕焼けの雲のチークにほころぶ
木々の枝の間に桃色吐息
冬の窓に自分を写し
ただひたすらに投げる直球
春風よ
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