ながるる

母の部屋
南天の実が飾られて
口内炎を噛む癖やめる


冬至すぎ 
西の空 影絵と
月の共演がゆっくりと流れてく


冬枯れの道
こがね色のカステラを
じっくり眺めてからいただく


黄泉の国
あるならあのひとと逢える
その日へ列車に乗ってゆきたい


あの子の日常に一片のしあわせが
香る味わいの贈り物


クヌギとタイワンフウの葉までおちたら
梢が第九を指揮するよ


わたしを映す水溜り
雨上がりにはいつも傍でわらってくれた


月映し
水の音の年月に
心撫でられ息つく年の瀬


黄泉への改札は最終まで
きっと川の上を走る列車が
ゆっくりと


生きてこそ
あなたを思う時間
苦しい時過ぎて今は安らぎ


うまれおちた一雫
ちっぽけでもわたしとなり
あなたへとながるる



23/12/30 09:26更新 / 檸檬
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