白い夜想
冷たい雨の降る夜は
ヘッドライトに輝らされた霧が目の前に
大きく羽を広げて一瞬に吸い込まれる
わたしは車を走らせて
なにかをのみこむ
白い翼は
どこかへ消え行く 幻
いくつもの霧の羽が車の前に
浮かんでは吸い込まれ 消える
羽を広げては 吸い込まれ
わたしは車を走らせる
そっとのみこむ
きっと冷たい雨音は連れてくる
白い羽がいつの夜に
きれいな星に映るよう
冷たい雨音は連れてくる
白い羽が浮かんでは消え行くこの夜の向こう側
のみこんだ思い
低空飛行ですり抜けて
冷たい夜の向こう側
きみの名前を呼んでいる
冷たい雨音は連れてくる
真澄し夜空に
星の瞬きが鈴の音になる
ホワイトクリスマス
願いや思いが羽をもち
夜空に浮んだ白い木綿雲の群生が流れた
梢が真っ直ぐ空に手を伸ばす
落葉を終えた
白いケヤキの木の下で
きみの名前を呼んでいる
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