夏の月と冬の花 きみの海と私の海
いつかきみに渡したい石を探していた浜辺
今日やっとみつけた
冬の海岸線 真昼の海は
澄んだ涙がキラキラ輝く
カラカラの空回りでも
プラネタリウムの涙星に大丈夫
ユラユラと釣り堀の先まで
浴衣で歩いた 月が近くて
湯煙越しに見えた
街明かりはきみの街だとわかった
あたたかさ
夜が明けて
はっきりとした建物や橋の輪郭
空には飛行機
コートを着てシクラメンの鉢を
持つ婦人と月はひとつの絵画
手のひらの落ち葉が風に吹かれたら
忘れたことだよもう、と笑って
寒さに身を細めた人々の
向かう先には小さな春の光
風をとらえた鳶を見上げ
終わりのない水平線と祈りかな
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