Windy voice
冬の初め
空気が澄み凛として
さまざまな音が
クリアに耳に響いてくる
分厚くなったスリッパの摩擦音
コップに水を入れゴクゴクと
喉を通る音
食器を片付ける音
あの子が
急いで自転車をこぎ出す音
バスの停車音
信号機の音
雑踏の中の生活音が
鼓膜をふるわすけれど
朝日に照らされ
パッと白く光る雲を見ると
あなたの声が聞きたくなる
あなたの声は
初冬の一隅を照らす
小春の陽だまりの様な
あたたかさをもって
私を包んでくれる
あなたの声は
風に乗り舞う
海の深くまで揺らして
波を吹き上げ白く泡たたせる
深く沈む心の琴線を光らせ散らす
あなたの声は
湖上に浮かぶ月を震わす
湖の深界に光の生命を与え
私の心を震わせ涙を溢れさせた
あなたの声は
木枯らしの様に
カラカラと木の葉を転がす
何処からともなくやって来て
私の心を揺さぶって行く
答えは風に吹かれているよと
言わんばかりに
あなたの声は
漆黒の闇の中
凍える空にも輝く星屑
吐く息白く サッと消えていく
私の心を揺らして舞うよ
深く優しいささやきは
胸の締め付けをほどいていく
強く情熱的な語りかけは
心のタガを外していく
あなたの声は吹き抜ける
遥か世界の最果てまで
強く優しく舞っていく
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