流涙の木
風に吹かれて落ちたくるみの実が
私の心の土壌に落ちた
知らず知らずに深いとこ
空洞だらけの殻の中から
硬い扉をうちやぶって
種子が心の土壌に落ちて
いつしか芽吹いていく青葉
大雨干ばつ台風も
乗り越えひとつの木となりました
ひとつの成り立ち
ひとつの意識
ふたつの意識の関わりで
もぐらたたきの格闘で
ひとつのめをそらすことの
出来ない木になりました
土のなかの秘密が
土の中の静けさが
とても好きだった
その中での二人のせめぎあいで
根をはっていったのね
土の中は優しい眼差しを感じていられた
だから好きだった
好きだったんだよ
本当に
あなたの瞳の中で眠りに落ちる
そんな土の中から
しっかりとした木立が
いつのまにか
私の頭を月やぶって
枝葉を天空まで伸ばしている
もうひとつの意識
二人の意識がたしかに
息づいて生きているのを
今日も感じている
心から感謝しています
ただ流れる私の涙を信じてくれて
うれしかったよ
ありがとう
涙を糧にまた木立は枝葉を
空へと伸ばしていける
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