浜辺の絵本
浜辺で開く絵本をみせて
あの鳶が羽を広げるように
波のような手で
ページをめくって
あの潮騒のような声で
耳から砂浜へと裸足で駆けてゆく
水平線に沿って糸を張って糸電話をする
聞こえない 波の音で
でも、 聞こえるから
この果てしなく続く海原で
あの声だけが
命の灯火のように
紅く紅く 見えるからね
信じていてね
わたしはあなたが好きだよ
大好きなんだよ
浜辺で開く絵本をみせて
あなたの羽を広げて
あなたの手でページをめくって
あなたの声で歌っていて
わたしは耳を澄まして
心を澄まして
波打つ心に身をゆだねて
水平線に灯る、黄昏に還るように
眠りに落ちるのだから
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