幼い夢
南の街の錆びれた路地裏にある
小さなダンスホール
その舞台の薄明かりが
幻のように揺れて光る
カウンターに座り
(答えは風に吹かれている)
そう歌う詩人の手紙を何度も読んだ
いっぱい流した涙の分
汚れた瞳が洗われて君のホントウが透けて見えたらいいのにね
でも感じ取れたのは
もう私が君にホントウを問うことはとても酷なことなんだということ
そんなに 泣かないでほしい
答えなんかもういらないや
確かなものもいらない
ホントウは私の中でうまれたこの
気持ちだけだ
君がみていてくれると思って踊るよ
こんなみっともない踊りでもいいのなら
実は幼い頃バレリーナに憧れたことがあってね
親にバレエを習いたいなんて言えなかったなぁ
今はこんな錆びれた店の小さなダンスホールだけど
君が見に来てくれるなら
気ままに下手くそな歌で踊ってみるよ
たまにピエロのメイクしてチンドン屋もいいね
まあ閉店ガラガラなら
その時はあの浜辺で踊ってみる
今を今だけを思ってね
流星ってさ
彗星が残した塵なんだって
星の破片が発する
最後の瞬きだって
知らなかった
宇宙が、夜空が、
その瞬きを、思いの丈を
包んでくれている
君の瞳の奥みたいだ
宇宙からの風に吹かれて
最後はどこかへ舞い降りる
そうおもえばそれもそれで
幻のような幼い夢だね
でもその夢がいつ消え去ったとしてもけっして不幸せではないな
眠りから目覚めるとき川辺にいて痛みさえキラキラと静かに流れていく
ほんの少しの優しい情景が瞼に浮かんで微笑んでいる自分に気づいたんだ
生きて生きて生きてこの世界を
もっとみていたいんだ
君となら、なおさらだけどね
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