カラカラの葉根
冬枯れの名残がある
芝山の木にも枯れ葉が
ビブラートに揺れながら
まだ落ちずに春をまっている
葉っぱの衣の一部が剥がれてなくなり
かつて水が通っていた静脈が
あらわになっている
細かな葉っぱのフィルター
真昼の陽に透かす
格子ガラスの様な
優しいひかりが
私の目に入ってくる
そういえば
あの緑の若葉のころは
君は木陰を作ってくれたね
ため息を吐いたら
すいとってくれた
雨上がりには朝露を滑らせて
水玉を光らせて魅せてくれた
木枯しの時には風のヴィオロンを
悲しげに響かせて、聞かせくれた
そして
あらわになったその身体で
そのひとみで
一緒に冬の寒さに震えてくれた
毛布をかけてくれたね
そして、今
あたたかな陽光を
通すように薄く磨り減り
剥がれて はじかれた
できるなら
淡い雲に隠れた
呼吸 鼓動を感じて
葉脈を通した
羽を持ちたい
鼓動の根から
鼓動の音色
巡る春の息吹きの風に
吹かれたい
雨水
花びら
青葉へと
小鳥なくなく
なきながら
飛び立つ水面に
水飛沫は 一瞬の翼
夕日に光って
あかあかと
ないている
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