枯れ草の芝山から
夕暮れの枯れ草の芝山は西から見るとベージュに光る
私の影法師に向かい合って
夕暮れの枯れ草の芝山は東から見ると金光に透けて茶褐色に光る
私の影法師には背を向けて
枯れ草の下に少しずつ短い
黄緑がツンツンと生えて
もう少しブラウンの毛布をかぶっていたいと頭だけだして
蟻もまだ出てきはいないみたいだ
ここは柔らかな風が小川のように
あたたかな光を包みながら流れてくる
少し冷たくて柔らかな風のフィルターを通り澄んでいくような散歩道
あの雲から見ればここは
何重層にもなる空気の海底
上がったり下がったり泳いでいくように心だけは自由であれ
あの短い緑の草も朝露に蒸発しながら根をはり上を向く
実家の近くの川縁が懐かしくて
小川をみているだけで
思い出す
あの頃の自分の遠くを見る目は
何かを探していた心
どこかに流れつくのかと
思いを馳せた心
小川の橋を渡るだけで風に吹かれて新鮮な気持ちになれた
いつかどこかの誰かに届くことを
願いながら聴いた
川の流れと空気の流れの二重奏
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