兄への想い

わたしの兄は
どうしようもなく
だらしのない人間だ

自制心がなく
遊びほうけて
やるべきことをしない

人の言うことを聞かずに
いつもマイペースに
自分勝手に行動する

たまに行方をくらませて
何日も帰ってこないと思えば
いつの間にか帰ってきている

家族に心配かけたこと
迷惑かけたことに
謝罪もしない

あぁ
だらしない奴

私は基本的に
だらしのない人間は
嫌いだ

けれど
兄を嫌いに思い
疎むことはない

なぜだろう?

遠すぎず近すぎない距離を保って
兄への適切な対応を常に考え
妹としてできることをしてきた

言うべきことは言い
見守るべきところは見守り
少しずつ
自分を見失っている兄に
変化があればと願いながら
接してきた

嫌いな部類であるはずの人間であるはずなのに
なぜここまでするのだろう?

長年一緒に時を過ごしてきた仲だからか?
兄に必要とされたいがためか?
どれも正解かもしれない

よくは分からないが
ただ言えること
それは

ここまで気にかけ
尽くそうとしてしまうのは
愛ゆえなのだろう

ただ
その愛が
度を超しているのではないかと感じることがある

基本的には
柔和な態度で相手を受け止めて
時に厳しい態度で苦言を言い
様子を見守ろうと努めているが
その姿勢が
妹のそれ以上ではないかと感じることがある

また
気がつけば兄のことを考えていて
ふらりと兄が
どこかに出かけた日にはやきもきして
いつ帰ってくるかと待ちわびている

まるで
我が子を
恋人を
想うように

いずれにせよ
親にも恋人にもなれない
妹であるしかないのなら
あまり尽くしすぎるべきではないのだろう

親の役目は親が担うし
いずれ恋人ができるかもしれない

私の役目など
妹以外ない

それでも
想わずにはいられない

だから
兄ちゃん

ただ
私の愛する人として
今は傍にいさせてください




19/11/25 00:04更新 / アキ
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