私は良い孫だったか?
祖母の通夜
読経と木魚の音色と共に
蘇る記憶は
楽しかった思い出
ではない
あの人とは
色々葛藤があったから
苦しくて悲しい
怒りも混じった
記憶ばかりが
蘇る
外面は良かったから
みんなからは良く思われている
みたいだけれど
一番身近で
接していた私は
あの人の
弱いところや
醜いところを
まじまじと見ていたから
あの人に対して
あまり良い印象がない
霊感の強い私は
あの人が
死んでもなお
重く悲しい気持ちを
引きずって
無念の中
苦しがっているのを
感じていた
それに対して
「死んでも相変わらず
みっともない」なんて
哀れに思うこともなく
淡々と受け取って
迷惑そうに
浄化をする孫なんて
こんな不孝者
いないと思う
通夜の終わりに
いとこや叔母達に
「私は良い孫じゃなかった」なんて
呟いたら
「そんなことないよ
あなたは
誰よりも一番
おばあちゃんに尽くしていたし
一番おばあちゃん想いだったよ」なんて
言われて
とても
複雑な気持ちになった
確かに
あまり良い思い出は
ないけれど
誰よりも一番
あの人に気持ちを注ぎ
想いを込めて接していたのは
私かも知れない
心地の良い関係では
なかったけれど
だからこそ
誰よりも深い関係を築き
そこから
学んだことも
多かった
私はあの人に
ここまで鍛えられたと言っても
いいくらい
そうだね
私は
都合の良い孫ではなかったけれど
良い想いも
そうでない想いも
色んな想いも含めて
深く強く
あの人を
想っていた人は
間違いなく
私だね
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