あのときつないだ手
あのときつないだ
やわらかくて
もみじのように
小さな手
娘は
どこへ行くにも
その小さな手で
私の手をぎゅっと握って
離さなかった
それが
いつの間にか
私の手を離し
自由に
どこへでも
行くようになった
もう
私の手引きはいらない
自らの意志で
歩いて行けるんだと思うと
嬉しいようで
どこか切ない思いに
さいなまれた
「お母さん危ないよ」
そう言って
私の体を支え
手を引いて歩く娘
あのとき頼りなさげに
私の手を握っていた
小さな手は
こんなにも
しっかりとした
大人の手になっていた
あのときは
私が導いてやらなきゃ
生きられない
か弱い存在だったのに
今じゃ
私の手を引いて歩き
支えてくれる存在になっていた
あのときつないだ手は
再び私の手を握ってくれている
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