不器用な優しさ
午後3時半に
迎えに来てよね
ちゃんと
言ったはずなのに
いくら待てども
迎えは来ず
15分ほど経過し
兄に電話
「もう少し待て。
少し時間がかかる」
さらに
30分経過
合計45分待ち
兄に電話すると
ラインにて返信が来る
「あと20分ほどかかる」
この言葉で
私の中の何かが切れた
ラインにて
「いい、一人で歩いて帰る」と
返信
夕方の寒空の下
リュックを背負い
とぼとぼ帰る私
作業所ボランティアの送迎を
兄に頼んだ
それが間違いだった
ただでさえ
マイペースで
時間管理が出来ない兄
3時半に迎えに来るよう
言ったのに
おそらく
こちらに向かったのは
4時を過ぎてからだ
今まで
兄のマイペースは
受け流してきたが
今回は
傷ついた
帰りに
何か買ってあげようかと
考えていたが
止めよう
そう思いながら
歩いている私
あともう少しで
家に着きそうな距離まで
あるいたところで
車を運転する兄が
私に気づいて合流
「ばか!」
開口一番で
兄に言う私
何をしていたのか
尋ねると
昼食を買っていたという
なんとも情けない話
そんなの
後でもいいじゃん
ていうか
昼食遅すぎだし
優先順位
間違えるなよ
とにかく私は
傷ついたんだよ!
その気持ちを
伝えると
何かを取り出して
私に渡す兄
見ると
パンだった
「お前にやる」
どうやら
昼食のついでに
買ったらしい
「父ちゃん母ちゃんには
買ってないぞ」
あぁ
こういうところだよね
不器用な
優しさというか
多分
本当に自分にとって大切な人じゃないと
やらない行動だよね
お世辞とか
気遣いとかしない兄だから
その行為は
嘘偽りがない
愛情表現なんだよね
叱っても
さらっと流してしまう兄だから
叱り続けるのが
馬鹿らしくなる
待ちぼうけにされたことを
怒るべきか
不器用な優しさを
喜ぶべきか
とても
複雑な心境だ
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