虫めづる姫君に敬意

古典文学が読みたくなって
何となく
「虫めづる姫君」を買って
読んでみた

この姫君は
とにかく虫が好きで

毛虫などを手に取っては
興味津々に観察するような
変わり者だ

現代でも
そんな女の子がいたら
周囲はドン引きするだろうが

私はこの姫君の
自分の好きなものを極め

周囲の当たり前に流されない
自分の考えをしっかりと持った
芯の強さに惹かれた

この時代では
「もののあはれ」と
雅なものを愛でる風習があるけれど

この姫が愛するものは
一見すれば気色が悪い虫である

その虫の何がいいかというと
それも深い理由があって

たんに虫が好きというのではなく
虫の生態に
物事の真理を見いだしているらしい

つまり
この姫は
生き物の自然体が好きなのだ

表面的な美しさではなく
生きとし生けるものの美しさを捉える
素敵な感性の持ち主なのだ

いつの時代も
その時代の流行や風潮があって
だいたいの人は
世間の当たり前に流されてしまうが

この姫君は
きちんと自分を持っている
素晴らしい人だ

自分の愛するものや
信じるものを
良い意味で極められる人を
私は尊敬している

この姫に悪戯を仕掛けた御曹司は
この姫を変わり者と思いつつも
何となく興味が湧いて

実際に見に行ってみると
可愛いじゃないか
もったいないなと感じて
そこで話が終わるのだが

いやいや御曹司よ
この時代に
ここまで自分を持てる人は珍しいよ

ただの変わり者で終わりにしないで
興味持ったなら
もっと知っていきなよ

この姫と一緒になったら
絶対、人生が
面白いと思うよ

と、いうような突っ込みを入れた
私だった

自分の個性を尊重する
そういう風潮は
昔よりも浸透してきたと思うが

この時代では
難しかったのではと思う

この姫は
個性や多様性の尊重というものを先駆けた
貴重な存在だと
私は思う



21/10/25 17:39更新 / アキ
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