差別者

私は普通じゃない

普通と言われる人と比べて

当たり前のことが出来なかったし

集団にも上手く溶け込むのが苦手


人一倍努力して

普通に近づけるようにやってきたけれど

普通の人を演じているだけで

結局

普通にはなれなかった


「頑張れば普通になれる」なんて

母親は頑なに信じていた


今はそれが

妄念であると分かる


普通にはなれない

けれども

この社会で生きていくには

ある程度人並みを演じなければならない


なぜならば

全ての人が

普通から外れた人を

受け入れてくれるわけではないから


私は幾度も

普通でないことで疎外され

偏見の目を向けられ

誹られてきた


受け入れてくれたと思ったら

結局「お前はいらない」と

突き返されたこともある


普通でないという理由で

受けてきた仕打ちの数々を振り返ると

どうしても

普通を演じなければならないという強迫観念が

私を突き動かしてしまう


私は今まで被差別者だった


けれども最近

私は

自分自身も

普通出ない人に対する

偏見のような

拒否反応があることに気付いた


私みたいに

普通出ない人達は

結構見かける


私の兄や母もそうだし

大学の友達もそう


今回、転職した先で知り合った

新入職員の彼も

おそらくそう


私は彼らを受け入れようとしている

つもりだったけれど

私の無意識が

それを拒否している


私はそんなことはしたくない

けれども

「結局、あなたは出来ない人」とか

見下すような思考が

私を支配する


そう

私は、差別者でもあるのだ


なぜそうなってしまったのか

何となく分かる


今まで私は

普通でないことで苦しみ

普通に近づくことで自分を救済してきた


そうしていくうちに

「普通でなければいけない」思考が出来てしまって

だから

普通でない人

というよりは


普通でない人なのに

普通に近づくために努力しない人や

人並みを演じきれない人に対し

嫌悪感を抱くようになってしまった


他者に対しても

普通に近づく努力を求めてしまう


普通を求める私は

自分を受け入れられていない


自分を受け入れられないと

同じように普通でない人達も

受け入れられないだろう

21/04/18 16:17更新 / アキ
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