星の子達が輝く理由 後編

生まれたくない。

自分と同じ気持ちの星の子が目の前にいる。
驚きもありつつ興味がわいて
「どうして?」とボクは尋ねてみた。

「私はここに来る前は
マナカと呼ばれていた女の子。

ママはいつも私をほったらかしにして
家を出て歩いていたの。

どこに行っていたのを聞けば叩くし
気に入らないことがあれば殴る。

ご飯も用意してくれなくて
その内
お腹が空きすぎて
気がついたらここに来ていたの」

どうやら
マナカという星の子は
ここに来る前にお母さんに放置され、虐められて
亡くなったみたいです。

「新しいお母さんとお父さんを
選ぶように神様から言われたけれど
出来ないよ。

だって
前みたいにまた
ほったらかされたり
痛い思いするかもしれない。

同じような親を選ばなければ良いのだろうけれど
分らないよ。

愛してくれる親ってどういうものなの?
選ぶのが怖い」

ボクは静かにマナカの話す言葉を聞いていました。
マナカとボクは
生まれたくない星の子ではあるけれど
その理由は全く別のものでした。

ボクは
マナカの気持ちが分るよで
分っていないことに戸惑いを感じていました。

「えっと…マナカ。
ボクもね
生まれたくない星の子なんだ」

「そうなの?」

「うん。
でも
ボクの場合はマナカとちょっと違う理由なんだ。

ボクはここに来る前は
お母さんのお腹の中にいて
でも
生まれる前に死んじゃったんだ」

「え?そんな」

「だからね
親を悲しませたことや
ボク自身が生まれたかったこともあって
新しい親を選ぶ気になれないんだ。

本当は
同じお母さんとお父さんの元に生まれたい。
でも
それが叶わない決まりだそうだから
とても困っているんだ」

「そうなのね。
あなたは
親に愛されていたのね」

「…うん」

ボクは何も言えなかった。
親の愛を知っているが故に
生まれたくないボクと

親の愛を知らないが故に
生まれたくないマナカは

似ているけれど
そうではない。

何と声をかけたら良いか
次の言葉の選択にボクは困っていた。

「ねえ
親に愛されるって
どんな気持ち?

私はそれが
どんなものか分らないから
あなたの気持ちがよく分らないわ」

そう
マナカが尋ねてきた。

「愛される気持ち?

そうだね
とても温かくて気持ちいいよ。

お母さんのお腹の中にいるとき
いつもお母さんが優しくお腹を撫でてくれて
「元気に生まれてきてね。
愛しているよ」と言ってくれたんだ。

お父さんも
「生まれてきたら
一緒に笑って
楽しいことたくさんしよう」と行って
生まれてくることを期待していたんだ。

だから
生まれてくれなくて
お母さんとお父さんに本当に申し訳なくて。

悲しませて
本当にごめんなさい」

ボクは
思わず涙をこぼしてしまった。

それを見てマナカも
ほろりと涙を流した。

「私も
そうやって
お母さんに愛されたかった」

2人はひとしきり
涙を流した。

たくさん涙を流して
泣き疲れた頃
2人はなぜかふふっと笑っていた。

「何だろうね。

私達
違う理由で生まれたくないのに
何でこんなに惹かれ合うのかな?」

「そうだね。

いや
そうでもないよ」

「何で?」

「だって
そうでしょう?

ボク達は
親に愛されたくて仕方ないし

ボク達も
親を愛したくて仕方ないんだ。

そこは
同じじゃないかな?」

その言葉に
マナカははっと息を呑んで
腑に落ちたような顔をした。

「そうか…
私は
お母さんに愛されたかったんだ。

あぁ
この気持ち
とても温かくて気持ちいい。

愛されたい。
愛したいって気持ちは
こうなのね。

何となく分かった気がする」

マナカの表情に
花が咲いたような明るい笑みが出てきた。

ボクはそれを見て
嬉しくなった。

ふと
ボクは思いついた。

「そうだ。

ねぇマナカ。
ちょっと頼みがあるんだ」

「何?」

「ボクは同じお母さんのお腹に戻れない。

でも
君ならボクのお母さんのお腹に入ることが出来る。

だから
ボクのお母さんとお父さんの元に
生まれてくれないか?」

「え?」

「お腹にいた頃のボクを
凄く愛してくれた人達だから
間違いなく君を愛してくれるよ。

だから
どうだろう?

あの人達なら
君を愛してくれるし
君も安心して
愛することが出来ると思う」

マナカは
戸惑った。

マナカの母親は
マナカを愛してくれなかった。

どの親を選んでも
同じではないかと思っていた。

けれども
ボクの話す両親は
とても優しくて温かい。

ボクがここまで
生まれることを躊躇するぐらい
深い愛情を注いでくれる人達。

その人達なら。

「私を
愛してくれるかな…?」

「愛してくれるよ。
絶対」

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