ページの中に
学生時代に恋い焦がれた
好きな小説の中の登場人物
気だるさのなかに哀しみを感じさせる
ミステリアスな大人の男性
いつしか私の方が年上になっていた
気だるげで哀しげでミステリアスな男性とは出会えないまま
似ても似つかぬ人と恋をした
大人ってこんなもんですか
あのとき見てたはずの大人とは
程遠い大人たちのなかで生きてる
本のページの中にいる
私の憧れた好きな大人の男性は
この先もずっと年を取らずに
いつしか子供のようになり
いつしか孫のような年になるだろう
でもきっとページを開くたびに
私はあの人にときめくだろう
タイムカプセルのように
私の大人への憧れと恋心を
ずっとページの中にしまっておくれ
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