青、赤
海より青く、永遠の黒髪より赤い。
運命の循環は水の巡り。
帰還に喜んでいるけれど、
その海は船が泣いた後。
あの子の黒髪は永遠だけれど、
その細胞はテセウス。
全ては変わってしまえる。
時間螺旋に同じものがなければ、
この世にのどこに同じものがあるのだろう。
すべての希望も別個体。
ただ共通していることは、
どの希望もどの絶望にも成れないこと。
どの絶望もどの希望にも成れないように。
この希望は幸せすぎる。
海より青く、永遠の黒髪より赤い。
この希望の生む波は、絶望の生む波より、眩しすぎて、届かない。
これは、悲恋。
いちばん絶望から遠いところで、いちばん絶望に近づけるもの。
海より青く、永遠の黒髪より赤い。
成れない雲が運命に引き入れた、雨。
新たな運命を引き連れて。
運命の循環は重なる。うまれる螺旋。
運命の辿る運命だけが、ただひとつ変わらないもの。
その螺旋上を走る、私の知らないところに向かう。
届く波を生むために。
これが私の最後の希望。
絶望のそれに近づくための希望。
私の希望はこの希望だけ。これしかないから、希望と呼ぶの。
海より青く、永遠の黒髪より赤い。
波を届かせる。涙を届かせるために。
涙を届かせる。信号機より澄んだ涙を流すために。
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