壮大な物語
僕が夢の国のご厄介になるとき
夢の住人は 言葉にできない景色や出来事で
手厚く僕をもてなしてくれる
全ての夢は等しく 盆に載せられ 運ばれてくる
美しいものをいただいたときは
"何の義理で こんなに良くしてくれるんですか?
ただ なんにせよ この美しさは
どんな宝石にも代え難いですね" と言う
不気味なものを賜ったときは
"こんな仕打ちを受ける因果を僕は知らない
ただ なんにしても ああ この不気味さ
どんな魍魎も その背に迫れないだろう" と言う
夢の住人たちは答える
"私どもの全ては 貴方が現実に見たものが骨となり
また現実に聞いたものが血肉となり できているのです
それはここから見えます山々 そしてそのまた向こうの
はるか先の景色まで 例外ではないのです"
夢の住人たちは続ける
"貴方の喜び 悲しみ 慈しみ ときには
誰かを傷つけたいという気持ち
貴方の感情は 夢の国では太陽や雨雲になり
不断にその空模様を変えているのです"
そう言われて僕は何か本で見たことを思い出した
徳の高い人も 卑俗な人も いつか土に返り
その土を宿す地球は やがて分解され
全く新たな星へと生まれ変わるという
だから人間は星の一部として 宇宙に連なっている
それを思い出すと 夢と現実が
まるで兄弟のように思えてきた その矢先に
僕の中で 夢と現実の垣根が崩壊を始めた
大地は震え 屋根からは木屑が降った
夢の住人は大慌てだった
僕をドアに介して 現実からキャパシティを超えた数の
俗悪なもの 冷酷なものがやってくる恐れから
住人たちは僕の頬を何度もつねった
夢から覚めても さっきの夢を覚えていた
それは夢の住人に申し訳ない気がして
また別の夢で記憶を上書きしようと
僕は毛布を頭まで被った
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