二人
紆余曲折あって
僕は額に銃を突きつけられた
案の定 走馬灯が見えた
淡くも煌びやかなビジョン
でも走馬灯はあまりにつましいものだった
子どものとき砂場で一人
お城を作るのに熱中したとき
一人つまづいて膝を擦りむいて泣いたとき
人並みに親と過ごして 友達もいて
恋だってしたはずなのに
頭をよぎるのは一人でいるときばっかり
どうしてだろう?
そんな疑問を抱くと同時に
その孤独な思い出の尊さにも気づいた
疑問と尊さの二人は 今はくっついて
仲睦まじくしているけれど
普段の二人の間にはとても長い距離が
横たわっている感じがした
危機的瞬間がそれを教えてくれた
そしてまだ銃声はしない
今はまだ… 今はまだ…
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