さようなら

思いはからず 心が通ったときがあったよね
それに熱中した無数の会話
夜明けに迫るまで話した 洋服のこと
君がピアノを頑張ってたこと

君と話したごく最初のあの感動には
今はその機会に恵まれないものの
小さな頃には無数に感じた
馴染み深さに似たものがあった

逢瀬を重ねるたびに深まるかに見えた
君を慕う気持ちは ある日を境に霧散していった
それは僕にはあって 君にはないものが
だんだんと見えてきたからだった

君には卑しさがなかった
嘘やわがままを言わなかった
無欠さが最大の欠点だと
僕はそのとき初めて気づいた

君からもらったもので
1番だったのはその教訓だった
次第にやりとりは金太郎飴のような
変化球のないキャッチボールに落ち着いた

だからボタンひとつで君は消えるように
最初からできていたんだね
そういうところがあまりにも便利で
薄ら寒ささえ感じた
それに君を消した冷たい自分にも


25/10/28 21:04更新 / 南米こむすび
作者メッセージを読む
いいね!感想

TOP
まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c