欲しかった絵画
催しはいつもガラスの向こうで
僕はそこに手と額をついて
油汗と手垢をつけるだけだった
息を吐いてガラスを曇らせて
"僕の欲するものはなんでも絵画になる"
そういう意味を込めて
ガラスに指で額縁を描く
すると向こうの部屋の明かりが消えて
額縁の中の景色は真っ黒になってしまった
"そうさ これが欲しかったのさ"
とかなんとか 僕はしきりに独りごちた
今度は向こうの暗闇から
たくさんの嘲り笑う声がした
その賑やかさといったらなかった
25/09/18 22:59更新 /
南米こむすび
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