自然
夏休み
もう自分には関係がない
お前もいずれ そうなるぞ
子どもは大人になりたがり
大人は子どもになりたがる
それは昔からそうだった
写真がまだフィルムだったとき
僕の頭には黄色い帽子があって
ランドセルを背負っていた
ふるさとのバイパスの下を流れる川が
その頃のことを知っている
そしてその川を眼下に望む
並木道の桜の木もそれを知っている
自然は人間みたいにベラベラと
ものを言わないよ
ただ人が移ろうのを見守る
だから悪いことしたら
自然がそれを見てるぞ
そう思う気持ちは
お金にはならないけれど
優しい誰かが それを知ったら
きっと微笑みをくれる
そんなことを思いながら
女々しい 子どもみたいな
その考えを枕にして その日は眠った
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