常夏の人
ここ一年は常夏状態だぜ
財布の中も 頭の中も
街へ繰り出す 女はみんな薄着
それをナンパしていく
無駄に日焼けした奴ら
今までは指を咥えて見るだけだった
今なら手を伸ばせば全て手に入りそうだ
札ではち切れかけたこの懐に
人はみな舌を巻き
ほんの小さなプライドから出た
とってつけた文句を並べて言い寄るが
ハイエナみたいな
垂涎の眼差しは隠せずにいる
そこへ持ってきて この暑さ
善良な市民さえ野郎と化す
あまりの暑さに
人は胸の内を解放する 風を取り込むため
油断したそこを狙う 不届き者もいる
そして俺は心を開け放す
生まれてこの方 閉ざしていたこの心を
なぜならこんな時間は
もうきっとこないから
次の冬ごもりまでずっと
頭の中で毎日花火が上がって
その音で何も聞こえない
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