汚い言葉の価値、美しい言葉の価値
権力や暴力に対する反抗や自己防衛で
汚い言葉を使うのは有りじゃないか?
憎しみや怒りの表現で
死ね!
という言葉を使うことの鬱憤ばらしと
時折の後悔の念よ
ギターのエフェクターでディストーションをかけて
音を歪ませるのがクールなように
言葉をずらした意味で使うことは許されないか?
殺したいほど愛してる、とか、
そういう言葉の力も
あり、じゃないかな?
汚言の不味さと若者言葉的ストレートと純情への信頼よ
矛盾するふたつの価値が有る
言行一致の人物の硬さと揺るぎない高潔よ
それは侵しがたい価値がある
嘘をつくことの不潔感や腐った感じも
真実や事実を重んじないのなら
そこには不安な落とし穴がある
しかし世界はもっと複雑な心や構造をしていて
虚実や色の濃淡や
天空と地獄のような高低や
迷路や
視界の善し悪しがある
一筋縄ではいかない人生に
歓楽街のネオンに溺れたり
断捨離したり
晴耕雨読に憧れたりするように
何度も挫けては立ち上がり
予定を立て立ち向かったり
疲れきって1人になりたかったり
そんな中で言葉を
蜘蛛のように張り巡らしたり
蚕のように丹精に全身全霊で
心と命を吐き出したり
時に言葉の扇子を持ち
顔を隠して
心を隠したり
自分を美しく演出したり
裏表、ヒラヒラしたり、
如何様にもあれ
そのどれも良し
私はそう言いたい
言葉は人の間の架け橋で
自分を守る武器にもなり
人生を飾る最大の七変化する道具であり
なるべく信じていたい二人三脚のパートナーでもあり
油断すればあだ花の徒であり
辛すぎる時に木偶の坊だったりする
されど私は人生の、
涙や溜息を知恵に変えてみたい
そうやって得た沈黙を添えれば言葉は
どんな書家の端麗な筆跡にもなりうる、
半紙の上の墨の龍でも有りうるのだ
龍よ、出でよ
彫刻家が木彫りの仏に魂を込めるべく
奮闘するように言葉を使えば
言霊めいて
跳ねる魚となり水飛沫
人は皆、生きることを謳歌して詩人になれる
生きる喜びよ
楽しく、信心と共に
言葉よあらんことを
だから、汚言にも愛なのだ
そして美しく誠実な言葉には、
何よりもたくさんの愛を捧げたい
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