はるか昔の


旅先の出会い
忘れ難いあなたよ

30数年ぶりにあなたを見つけた
私の初恋よ

あなたはまだ少女だ
きっと素敵な女の人になるよ

そう言って私に触れず
鎌倉の夜を明かした

私は失意し明け方にそっと
永遠の別れを告げたね

別れ際にあなたは後ろから
そっと私の首にキスして
「よし」
そう言ったね

その瞬間、
鳥が横切り、
私の額を打った

焼き付いた永遠の一瞬よ
優しい人よ

帰り道の竹林に小川沿いを
小糠雨が降っていた

私はポーンと傘を投げて捨てた
もう傘は要らなかった





25/10/06 23:28更新 / 湖湖
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