カルピスは初恋の味
子供の頃にはカルピスは瓶入りだった
白地に青の水玉模様の可愛い紙が巻かれていて
その紙を少しづつ捲って
茶色い瓶の中の白い希釈原液を
まだ残っているか、
減り具合を確認するのが好きだった
豊かな家ではなかったから
母が料理など
努力して与えてくれていたことが
大人の今には分かる
カルピスフィズは初恋の味
ファーストキスはレモンの味
なんて言うけれども
幼心の恋の記憶はかなり小さい頃だ
未熟ななかで甘酸っぱい、
ウットリした陶酔を初めて味わったのは
多分、5歳位だった
幼なじみのヒロシくんと
駐車場の陰でお医者さんごっこをして
横たわったヒロシくんのおなかに
はい、お薬です!
と、草をちぎってかけた時の
甘い気持ちをやんわり覚えている
恋って不思議だな
そのエッセンスはなんだろうか?
本能なんだろうけれど
香る魔法みたいだ
人間性がきっと鍵だ
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