蜘蛛
夜に、部屋に大きな蜘蛛が現れた
わんらわんら、と床を這い回り
私はぞーっとして
そしたら、愛猫が見つけて
興味しんしん、
追いかけ回し
手でいじくり
助けてあげようかな
チラッとそう頭によぎったが
なにせ気持ちが悪い
愛猫の遊びに贔屓する心もあり
ついほおっておいた
朝になって
マーブルタイルの床の上に
足の取れた蜘蛛が縮まって死んでいた
ふわっと悲しくなった
助けなかった罪悪感がやんわりとレースのように
まぶたに降りてきた
殺生ってやだな、と思う時
生きとし生けるもの
全ての命が尊いと思い直す
人嫌いになっている隙などはないのが
本当の現実だ
流血をイマジンすれば
それはすぐそこにある
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