片道切符で

片道切符で出奔する衝動によく襲われる
煩瑣で鬱陶しい生活を振り払って捨て
冒険者のように若者のように軽く旅に出て旅先で死ぬ
そんな淡い憧れと死のロマン主義
でも無理だ
愛猫を置いて行けない
あの子は体も心も弱いし、私を頼り愛してる
それに足腰が弱くて若い頃のような旅に出られない
逃げるというのはどんづまらないと出来ないね
戦い続ける人生も嫌だ
と、鬱な私は負け犬のように寝てばかり
夜にそっと息をする
淋しくて壊れそうでも好き嫌いは確固として
だから人は孤独だ
愚かな貧しい輪郭だ
大団円の愛が格差や全ての争う差異を宥めればいいのに
ままならぬ貧困と苦渋よ






25/03/06 06:10更新 / 湖湖
いいね!感想

TOP
まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c