ゲイの友達が欲しかった
若いころ、トルーマン・カポティと宮沢賢治が好きだった
オスカー・ワイルドの「幸福な王子」に胸を潰された
ゲイだから興味を持ったのではなく
作品に蠱惑されたあの日々の孤独よ
百年前のゲイの孤独の澄み渡るやさしさに私は涙する
あなたは私を慰めてくれた
羽根と羽根で温め抱き合うように
中学生のころ転校生で私は孤独だった
伊野君という女っぽい男の子が私になぜか好意を見せてくれた
あの不思議な気持ちを思い出せば
数年後、ゲイバーで働いていると風のうわさに聞いた
アウトサイダーとしてコンタクトを取ってくる人たちがいた
旅先で知り合った女番長や男娼のような美貌の社長
生い立ちの過酷な人たち
その深い熱意と人情の厚さを鍛冶屋のように思い出す
恩師の熱い闘魂注入なのだ
作家たちの熱い闘魂注入なのだ
レスラーじゃないけど人生は戦いだろう
欲しいものがあれば
私はさみしい
私たちは熱い剣で交わり友情を交わしたね
病身よ
懐炉のような記憶に私はむせび泣く
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