いつかの蜜蜂
あの時
ブランコに乗っていた
高く高く
天まで届け
ぐんぐんと漕げば
まだいける、まだいける
天を触れるくらい
ふう、面白かった
すると手の指に
止まっていた蜜蜂
必死で振り払った
ちくん
痛い!
指に蜜蜂の針が残っていた
痛かったけれど耐えられる程度の痛さだった
蜜蜂は死んでしまった
おまえ
命を懸けて私と闘ってしまったのだね
私はしばらくの間、しょんぼりとして、
蜜蜂の死が悲しかったのを覚えている
人の死も闘いもそれほどに些細なこともある
だから、拾いあげたちいさな石ころにも哀憐がある
道に死んだ動物や昆虫が倒れている時
生きていることを思う
一期一会の涙よ
大切なものが大切にされない世界はモノトーン
死がぎらぎらと極彩色で生きたことを唄えよ
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