桜を惜しんで


雨に打たれて落ちた花びらよ
排水溝を流れ
川に辿り着く花筏の冥府への旅よ
終わることの切なさに黄泉を思えば
追いかけてくるのは記憶ばかりの一人行脚

走馬燈、走馬燈、桜吹雪のなかで
どうせ死ぬなら愛を奉じたかった

望むことで負う荷の重さと傷つくことに諦めて
微笑んで消える風の余韻よ

揮発する春の大地の吐息に
透けて桜の生霊が囁く

よいのじゃな、よいのじゃな
そこの手毬つき、そこの手毬つき

私は長く伸びた髪の毛をそよがせて
風に踊るリズムを悪戯している





23/03/31 21:28更新 / 湖湖
いいね!感想

TOP


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c