耽溺の質
ああ、これはなんてすてき
なんてそれもおもしろい
なんて美しい
なんてハンサムなの
なんて、なんて、なんて、
このゲームはイケてて癖になる
SNSは沼だし
推しメン命だわ
夢中になっても手に入らないものたちよ
子供の頃読んだ本は
いつか実現したい未来の手本だった
冒険はキラキラして
私はアラビアンナイトな旅を好んだ
人生の喜びの代打を打つ者たちを
憎んだら何もなくなってしまうだろうか
私はもどき料理が嫌いだ
衣が付きすぎたカツも
缶詰もレトルト食品も
私を泣かせる
お人形を愛したのは人生の気まぐれ
あの子が思い通りにならないから
虚ろ、虚ろ、虚ろを転がして
カラカラ、カラカラ回転する日々よ
それではたまらないから猫をかわいがる
猫、猫、猫
無邪気な心
存在、存在、存在、
穢れない命
おまえがいぶかしげな顔をしたり
くるくると好奇心まんまんの顔をしたり
小さな体でけなげに生きて
存在だけで不憫で哀れで、喜ばしい、感涙よ
不思議だな
猫はこんなに感涙なのに
私の存在は感涙ではないのだろうか
人間の方が毒があるのか
それならば
毒と薬は表裏一体、
薬にもならなきゃいけないね
いつの日か、わたしはあなたの薬だよ
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