花を摘む
花が咲いている
摘むのは人の勝手
我が物になれ
手折られる色香の瞼の熱
高嶺の花を讃えるのではなく撃ち落とす
そんなズルい策略の恋の罠
あなたを讃える
震える心で愛の言葉を盛り付けて
でもそれは赤と黒、キャバレーのフルーツ盛
風渡る白亜の神殿の馥郁、
風に泳ぐ自由とロマンスの囀りよ
おまえはどこにいったか
敗残
氷を握るような手の中の空虚、幻の金魚
口の中の砂の味
冬枯れと行軍、モノトーンと代替品の配給の列
戦時下のアマリリス、記憶のコスモス
道際の名もなき花
名を知らない世界の広さ、名前を知る未来、
知らないものに囲まれた探求の子供心
出会った花に名前を知り、愛でて、愛を囁く
そんな人生の音楽を空耳して
口ずさむのは命へのキスの代わり
まだ見ぬあなたよ
私よ、幻の銅鑼を聞け
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