子供心の
私がまだ女の子だった頃、
お祖父ちゃんが大好きだった
じいは川崎大師の朱塗りの門前で言った
ほら、よく覗いてごらん
あれが怖い怖い仁王さまだよ
お守りしてくれているんだよ
お香を焚いて賽銭を済まして、
その頃は大きな池があった
池の傍には鬱蒼とした古木の大柳が隆と風に揺れていた
じいはその大柳のしだれを、それこそ仁王さまのように、
えいっ、と結び、ブランコを作った
そして私を載せて後ろから揺さぶってくれた
高く上がれ、高く上がれ、
もっとだ、もっとだ、
空に届け、空に届け
そら、そら、そら!
ははははは!
きゃっきゃっきゃ!
じい、大好き
ふざけておひげをじょりじょり、
小さかった私の頬に擦り付けたじい、
痛くて泣きそうな顔をした私をははは、と笑って
少女の頃、私の大好きな男の人、
アイスクリームのボックスを買って帰ってくれたじい
あの、はしゃぎながら押してもらった
ブランコの空の高みが忘れられない
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